考察・何故「ついていくほうも悪い」は生まれたか〜我々のメディアリテラシーが足りなかった

今朝の朝日新聞の投書欄「声」にも「少女傷つける 無神経な言葉」と題された投書が掲載されている。以下は全文の引用である。

海兵隊員の女子中学生暴行事件を受け、沖縄の米軍キャンプでは22日の「反省の日」に、訓練を自粛して綱紀粛正のための講義などを行ったようです。
被害者の少女に対し、「ついていくほうも悪い」、「自分から車に乗ったのが悪い」などの言葉が、一部週刊誌やインターネットに出ていることに怒りを感じています。犯罪者をかばう趣旨とは思いませんが、あまりにもむごすぎる無神経な言葉です。確かに少女は午後8時過ぎに外出していましたが、だからと言って少女を襲っても良いという理由にはなりません。
私たちは米兵からだけでなく、こうした被害者を傷つける言論からも、少女を守らなければならないと思います。

この投稿文自身は稚拙で、特に『確かに少女は午後8時過ぎに外出していましたが、だからと言って少女を襲っても良いという理由にはなりません』の行は筆者の主張を補強する根拠になりえていない。だが、このような「批判」もしくは「中傷」があり、それに対して嫌悪感を抱く人もいるという例として取り上げさせていただいた。また、これと似た趣旨の投稿をもうひとつ管理人は朝日新聞の同欄で目にしている。
では何故、このような少女に対する言動が生まれるのであろうか。
実を云うと、管理人もこのような言動を行っていた一人である。このような「考え」「発言」に至った理由としては、報道機関で幾度となく報じられた「米兵の危険性」がある。要するに、「危険な組織とそれに所属する危険人物」とされている米兵についていくのが悪い、という趣旨なのである。新聞記事には「またしても米兵が」というセンセーショナルな見出しが躍り、「沖縄の怒り」なる言葉を何度も目にした。必ずと云っていいほど、平成7年の少女暴行事件がともに取り上げられ、反米団体をはじめとする基地に対して悪感情を抱く団体・報道機関は米軍基地の撤去やそれに近い言論をぶち上げた。
朝日新聞の投書欄には同様に、以下のように米軍を「加害予想集団」とまで呼ばわる投稿まで掲載されていた。

2008年2月15日付 (-@∀@)新聞大阪本社版 声

国のいいなり 身を守れるか  無職 湯舟武男(堺市南区 67歳)

 山口県岩国市長選挙で、在日米軍部隊の岩国移転に反対して落選した前市長の井原勝介氏は、「子どもたち、孫たちにの世代に申し訳ない」と語った。

 沖縄県では、米海兵隊員が、中学3年の女子生徒に暴行を加えたとして強姦容疑で逮捕された。これまでにも、同様の事件が起こるたびに知事が遺憾の意を表明してきており、二度とあってはならないと語気荒く語る。繰り返される米軍兵士の暴行事件。むなしくはないか。

 政府は国民の財産や生命を守る義務があり、国民の税金を公平な立場で分配する責任を持つ。移転に反対した岩国市が政府の政策に反対したからといって、税金である米軍再編交付金補助金を支出しないやり方はおかしいと、私は考える。

 これを突き詰めれば、時の政府の政策に反対する国民は、政府の国民に対する責任の対象外だとする考え方につながり、戦前のモノを言えない状況が再現することになる。

 我々が自分の身を守る手段は「加害予想集団」を招き入れることを拒否することだと思う。
そういう意味では井原氏は残念だろう。

このような報道・声明に接するうちに、では何故そのような危険人物についていったのか、ついていくほうが悪いのではないか、という考えに至ったわけである。

しかしながら、この少女に対する言動を批判するための2月16日付の朝日新聞の記事を読み、管理人は目からうろこが落ちた。何故少女は米兵についていったのか、その理由が示されていたのである。そしてそこには、本土・沖縄を問わず報道機関を中心に、まさに創り上げられていた「鬼畜米兵」とは180度違った沖縄の米兵観が書かれていた。

1 :西独逸 ◆jsuaGAIDa2 @西独逸φ ★:2008/02/16(土) 12:23:53 ID:???0
在沖縄米海兵隊員が女子中学生を暴行したとして逮捕された事件で、沖縄や東京の女性団体が抗議行動に立ち上がる。米兵による性犯罪が起きるたび、「ついてゆく方も悪い」などと被害女性に責任を転嫁し、根拠もなく中傷する物言いが繰り返されてきた。今回もインターネット上などで同様の現象がある。その風潮が変わらない限り被害はなくならない、との思いが集会に参加する女性たちにはある。

 「危険な場所に出かけていくような行為は慎むべきだ」「うろうろしてたらアメジョと思われるだけ」。インターネットの掲示板には海兵隊員の逮捕直後に事件を語る投稿欄がいくつもできた。被害者や米兵と親しい女性たちに関するそんな書き込みであふれている。

 「アメジョ」は、米兵と親しくする女性たちを快く思わない人たちが反感を込めて使う言葉だ。

 「沖縄のことも被害者のことも何一つ知らない人たちが、被害者を中傷することだけは、絶対に阻止したい」

 「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さん(67)はそんな思いも込め、19日に沖縄県北谷町で緊急女性集会を開く。

 事件直後に出した抗議声明で、米側への要求の一番目に「被害少女への精神的ケア」を掲げた。「あなたは悪くない。痛みを共有しています」と少女に伝えたかった。

 会を仲間とつくったのは、95年の米海兵隊員ら3人による少女暴行事件がきっかけだった。

 数年前にあった米兵による暴行事件の公判を傍聴したときのことが忘れられない。証言台に立った被害女性に、米兵の弁護人が尋問した。「あなたはアメジョですか」。被害を訴えればこういう目に遭う、という見せしめだと感じた。

 基地内に連れ込まれて乱暴された女性が、周囲の中傷に遭い、県警に出した被害届を取り下げたケースも見てきた。

 今回、被害に遭ったのは14歳の中学生。日曜日の午後8時半、アイスクリーム店から友達と出てきたところを米兵に声をかけられた。店の場所は繁華街とはいえ、家族連れも出入りする商業施設。基地の集中する県中部の沖縄市では、市民の生活圏と米兵たちが余暇を過ごす場が重なっている。街に出れば米兵と行き会うのは日常のことだ。

 県中部の高校2年の女子生徒(17)は「繁華街に出かけると、米兵にプリクラや携帯電話の番号を交換しようと話しかけられることも多い」と言う。米兵の友達もいるが、危険な目に遭ったことはない。「米兵の友達を作ることが悪いんじゃなくて、悪いのは性犯罪をする人でしょ?」

 犯行現場近くに住む女子中学生(15)の門限は午後8時。でも、被害少女が「夜遊び」をしていたとは思わない。「米兵ってどんな人だろう。そう思ってついて行っただけなんじゃないかな」

 女たちの会の高里さんは「沖縄の生活も知らずに『夜出歩く方が悪い』と非難していては、なぜ米兵の性犯罪がなくならないのか問題の本質を見誤る」と言う。高里さんらと連動し、東京でも19日、「アジア女性資料センター」など三つの女性団体が抗議デモをする。

 終わり

朝日新聞(リンク切れ)http://www.asahi.com/national/update/0216/SEB200802160003.html
引用元【未定なブログ】http://aromablack5310.blog77.fc2.com/blog-entry-1827.html
※強調等は管理人による

『女たちの会の高里さんは「沖縄の生活も知らずに『夜出歩く方が悪い』と非難していては、なぜ米兵の性犯罪がなくならないのか問題の本質を見誤る」』とあるが、まさしく管理人は、沖縄を見誤っていたのである。沖縄の少女にとり、米兵はフランクでフレンドリーなオニーサンという認識なのである。この認識をすれば、少女が何故、報じられていることが真実だとすれば、ああも気軽に米兵の誘いにのったのか、容易に理解できる。
「ついていくほうが悪い」という言動は、各人のメディアリテラシーのなさから生まれたものと云えよう。管理人としても、猛省しなければならないことだ。


余談ではあるが、この記事は、「悪いのは少女ではなく米兵」という主張を企図して書かれたものだと見受けられる。記事内でインタビューを受けている高里鈴代女史が共同代表を務める(米軍及びその同盟軍の)「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」などは、まさに米軍基地の撤去を活動の目的・目標としている団体である。記者や同団体の思惑は、米兵が悪い→基地撤去であったのだろうが、皮肉なこと、その思惑とは裏腹に米兵が沖縄に溶け込んでいるというのがどうも現実のようである。






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鬱々日記〜特定アジア3面記事編



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