政局優先の民主党こそが景気悪化の元凶

一週間ほど前であろうか、米議会で米民主党の提出した経済対策案が通過した際、麻生首相が「このスピード感がうらやましい」と言っていた。米国に限らず各国政府は次々と経済対策をまとめ実行している。テレビや新聞紙面、さまざまな言論誌においても一刻も早い経済対策が望まれているのが事実である。そしてこれは国民の偽らざる本音であろう。
だが、現実にはわが国では二次補正予算や来年度の予算審議もままならないのが現状である。なぜか?麻生政権に批判的な人々は、「民主党が、定額給付金を除いた案なら審議する、と言っているのに依怙地に一括案しか出さない麻生内閣が悪い」と言う。
しかしながら先日の中川前財務大臣辞任劇を見ても同じことが言えるだろうか。中川氏は、あの件が報道された後、最初は辞任しない意向であった。それに対し民主党らは問責決議案提出の意向を示した。おそらく、これではまたしても国会が空転すると按じたのであろう、中川氏は予算通過後の辞任を表明した。すると民主党は「予算通過後に辞任するような人とは審議などできない」と言い審議を拒否した。結果、中川氏は当日中に辞任したのである。
これで審議再開か、と普通の人なら考えるであろう。だが民主党はそうはならない。次に言い出したことといえば「麻生首相の謝罪が先。審議はその後だ」である。
ここまで書けばわかるであろう。審議を意図的に先延ばしているのは民主党である。民主党の言い分は「政権交代こそ最善の経済対策」なのだが、これの根拠が管理人にはわからない。もともと党内地盤の弱い麻生氏の政権支持率が急落するや、自民党内での麻生批判が噴出したのに対して、「これが小泉元首相の言っていた自民党をぶっ壊すか」と言っていたコメンテーターもいたが、これで「ぶっ壊す」ならば民主党など現時点で「ぶっ壊れて」いる。「烏合の衆」という言葉が最もお似合いなのが民主党である。言うまでもなく、民主党とは平成の初めの政界再編の果てに生まれた旧社会党を中心とする政党であるが、この時点で左右混在、一枚岩とはとても言えず、ただ「反自民」のみを共有する政党であった。これにさらに自民党から脱退した自由党の大半が加わったのが現在の民主党である。
管理人はこのような党の「経済対策」がうまくいくとは思えない。しかも、次の衆院選民主党がどれほど大勝しようが参院では単独過半数ではない。社民党国民新党との連立政権になることは間違いない。あの烏合の衆に、社会党解党の際袂をわかったはずの社民党郵政選挙の前までの自民党議員で構成される国民新党が加わればどうなるか。船頭多くして船山に登るでは済まされないであろう。
このように予測されることが「最善の経済対策」と言うのであるから、とてもではないが民主党に「経済対策」などは任せられない。
もし、真に国民生活を思うのであれば今やるべきは挙国一致の経済対策である。これには両党の協調が必要だ。その第一歩が国会審議ではないか。
麻生内閣自民党議員は国民生活などてんでわかっていない、とテレビや新聞では嘆かれているが、この未曾有の経済危機を政局としか見做さず、さらにほかに火種があれば喜んで政局化する民主党こそ、国民生活の「困窮」を知らないと批判されるべきである。
ままならない経済対策のおかげで不況は先の予測よりもさらに悪化すると見られている。この責任は民主党のほうが負うべきところが遥かに大きい。