衆院予算委員会答弁を聞きかじって

い先ほどの話であるが、NHKで国会答弁の中継が行われていた。そのなかの、先週起こった「あたご」衝突事故に関しての民主党前原誠司氏の石破防衛相への質疑の部分を管理人は見ていた。やはり前原氏は自衛隊に関して有識をお持ちであり、安全保障に対する常識と熱意を持たれているために、本件を心から憂慮した、党利党略ではない質疑をなされていたように感じる。質疑自体は少々かみ合っていないところがあったが、憲法9条さえあれば日本は1000年は安泰と考える、管理人の理解の範疇を超える生き物の発する日本語と思しき、しかしそうとは考え難い、言葉の羅列ではなく、管理人の僅かながらの心の慰めとなった。
かのような人が率い、かのような考えを有する方々の党であれば、管理人も支持できるのであるが、国会はそうではなく、残念でならない。


話はがらりと変わるが、昨日のNHKニュースを見ていると社民党は「あたご」衝突事件に関して問責決議案の提出を考えているようである。もちろん、社民党民主党と折衝もせずに出したところで、日本の反対側からシュプレヒコールをあげることとなんら違いはなく、民主党にお伺いをたててからであろう。
また、朝日新聞はようやく福田総理が自衛隊の最高指揮官であることを思い出したらしく、ささやかに触れていたが、民間人に死亡者が出たと云ってもいい状況にも拘らず自衛隊の最高指揮官は言うまでもなく首相である。その事実を忘れないでもらいたい』と控えめなご指摘のもであった。もちろん、責任論などは一切触れていない。やはり安倍前総理の際とは対応が大きく異なる、といわざるを得ない。他にも『首相には深刻さへの認識が明らかに欠けている』などとは、事件発生から10日経ってようやく総理への「お叱り」を行った朝日新聞に云う資格があるのかと小一時間ほど問い詰めたいものだ。
それにしても、今日ほど論旨の纏まっていない社説もなかなか稀有なものではないだろうか。そう思い、せっかくなので全文転載することに決めた。

 これはまたなんとしたことだろう。事実を解明しなければならない側も、深刻な疑いをもたれている。

 イージス艦の衝突事故に対する防衛省の対応は、事故を起こした海上自衛隊だけでなく、危機管理の指揮をとるはずの石破防衛相や、防衛相のもとで自衛隊の部隊をチェックする官僚組織の失態続きで混乱が収まらない。

 事故当日に海上自衛隊は、事故直前の当直士官である航海長をヘリコプターで防衛省に呼んで事情を聴いていた。今回の事故では、自衛隊は「被疑者」である。捜査にあたる海上保安庁に当然すべき事前連絡をしなかったのは問題だ。

 その事情聴取には石破氏が直接乗り出していたのに、当初その事実は伏せられた。防衛相には聴取した内容を、なぜか後で報告したことにしていたのだ。

 大臣室での事情聴取に立ち会っていた増田好平事務次官は、「(聴取が)適切かどうかの認識もなかった」と述べている。そのうえ、自分は記録を取っていないので大臣室での聴取内容は「覚えていない」と平然と言った。

 迷走する防衛省の説明を聞いていると、この役所が周到に組織的に情報を隠そうとしているのかどうかは、疑わしい。もっと悪いことに、だれも全体像を把握できず、バラバラに対応しているだけなのではないかと思えてくる。

 海上自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質への不信感、組織を把握しきれないまま突出する防衛相、そういう防衛相を支えきれない幹部のもろさ――。さまざまな要因が重なり、防衛省はいま混乱の極みにある。

 こうなると、防衛省のだれを信じて事実解明を任せたらよいのか分からなくなる。きちんとした原因解明と事後処理を指揮できない石破氏に、このまま仕事を任せていいのかどうか、私たちは疑問に思う。

 もはや福田首相が乗り出して、今後の対応の筋道を示すべき段階だ。日本の安全保障を託している組織が、自ら起こした事故に対応できずに機能不全に陥っているのは恐るべきことである。

 なのに、首相の記者団に対する発言を聞くと、まるでひとごとのようだ。「もっとよく気を回して海上保安庁と連絡をとるとか、いうようなことができていれば良かったんですけどね」と、防衛省に対応をまかせたままだ。事態を直視すれば、「気を回す」かどうかのレベルではないだろう。首相には深刻さへの認識が明らかに欠けている。

 政府がまずやるべきことは、事故だけでなく事故後の防衛省自衛隊の対応も含めて情報を洗いざらい明らかにすることだ。その上で、速やかに防衛相を更迭し、関係者にも早急に責任をとらせなくてはならない。それをいつまでにやるのか、国民に説明することだ。

 自衛隊の最高指揮官は言うまでもなく首相である。その事実を忘れないでもらいたい。

タイトルは『うっかり忘却―首相が最高指揮官だったんだ』程度が相応しい。







では今日もいきましょうか