朝日の社説で防衛省は改革されるか

年から年を跨いで防衛省関連の問題が議論されている。ついには守屋前事務次官収賄で追起訴された。この問題には、それなりの興味をもって追ってはいるが、如何せん時期が時期なのであまり構ってられないのが管理人の現状である。ゆえに、記事をいくつも読むというより社説などの言論系のものばかりを読んでいるのだが、朝日新聞の社説などを見るにつけ、この新聞社は防衛省を改革したいのか解体したいのかどちらなのか、という疑問ばかりが浮かんでくる。
社説には「情報公開」やら「腐敗」やらが書き連ねられているが、現実としては、守屋前事務次官以外に防衛省の役人で嫌疑がかけられている人物は現時点ではいない。守屋前事務次官の私利私欲のための収賄ばかりであり、省を挙げての「裏金」作りや談合など、つまり、省益のための腐敗などはみつかっていない。強いてあげるとすれば、海自の給油活動に関する「報告ミス」であるが、これは非常に政治的な問題である。ともすれば、日米同盟さらには我が国の自衛隊活動の法的根拠にまで及ぶもので、とてもではないが、自衛隊防衛省の独断で行えるようなものではないと管理人は考える。云い換えれば、当時の政府が一枚も二枚も噛んでいたであろう、ということだ。管理人としては、イラク戦争への転用など、法的以外の問題は一切ないと考える。政治的には、正しい選択だといえよう。尤も、違法行為というのはもちろん問題であるが、現行憲法自体が問題であるとする管理人の立場からすれば、致し方ないと云うしかない。
であるのに、とにかく「情報公開」を求める姿勢には同意できない。情報公開は当然必要である。主権在民立憲君主国である日本に於いて、主権者たる国民が出来る限り適切な判断を行うための情報公開は当然だ。
しかしながら、軍事に関する教育が大学の一部学部を除いては一切なされていない我が国に於いて、それらの情報公開はどれほどの意味をもつであるだろうか。情報公開によって国民に知らされるのは、思想的立場を問わず、バイアスの掛かった「情報」のみではないであろうか。一部の「専門家」や「報道人」、「言論人」が好き勝手云うためのみの「情報公開」などは百害あって一利無しだ。
更に、それらの「情報公開」によって、紅支那北朝鮮、ロシアなどは利する恐れがある。仮想敵国が利するような情報は流さないと信じているが、どうも信用しきれないのと、報道機関などが煽れば国民から防衛省に圧力が掛かる恐れがある。その場合、敵に利をなす情報が流出してしまうおそれがあるのである。現実に、先日書いたミグ25事件の際、地元紙は陸上自衛隊函館駐屯地の動きを察知し「函館戦争か」という見出しのもと、自衛隊、防衛出動に関する様々な情報を垂れ流した。これはともすれば、侵攻してくるソ連軍特殊部隊に大きな利益を与えたであろう。函館空港に置かれていたミグ25の映像は日々テレビで放映され、函館空港や周辺の地理的状況は手にとるようにわかったであろう。地図などにもはっきりと記載されており、侵攻ルート策定は非常に容易であった。結果として、それらの報道が「抑止兵力」となりえたとする見方もあるが、そのような結果論に意味はない。はっきりとした意思の下、情報を流出していたのでない以上、作戦の障害でしかなく、事実として、ソ連軍に情報を与え続けていたのである。
今日の「情報公開」への圧力は以前のそれとかわりないであろう。節操も制限もない「情報公開」要求は利敵行為に他ならないのだ。
また、同紙の社説には具体的な改善策は全く言及されない。この二点からして、朝日新聞防衛省の「改革」ではなく「解体」を目指している、といえよう。





では今日もいきましょうか