「声」欄から三本〜官民格差は是正するな。など

本目

実施は慎重に 人事院の勧告
主婦 吉川嘉笑(大阪市鶴見区 33歳)

人事院が07年度の国家公務員の月給を、年収で4万2千円増額するよう勧告したとあった(9日)。ことし4月分の民間給与と比較して若年層で格差が大きかったためという。
人事院勧告は、官民格差を是正するのが目的だ。争議権(スト権)などの労働基本権に制約がある国家公務員の給与や労働条件改善のために出される。
今回の民間給与実態調査はどういう基準で行われたのか。「日雇い、フリーター、派遣社員契約社員など」を含めての話なのだろうか。もし含めないで、勧告が実施されれば逆に格差を大きくする結果にならないだろうか。
労働基本権を駆使し、労働条件について雇い主と話し合う民間の労働者はどれだけいるのか。
安倍首相が「国民の理解が必要。財政状況も考えなければ」と、完全実施にやや含みを残したのは、当然だと思う。

戦後間もない頃、皇居前でコメよこせのデモの際、「朕はたらふく食ってるぞ。汝臣民飢えて死ね」などという不敬極まりないプラカードが掲げられていたのだが、現代は「汝公僕飢えて死ね」であるらしい。
公務員の不祥事などが報じられている以上、国民が公務員に不信を抱くのは無理も無い。しかしながら、そのような不逞の輩は一部であることもまた事実だ。ネットなどを見ていても、公務員への反感の書き込みは多い。しかしながら国家公務員もサービス残業に日々を費やすのは当たり前なのである。
『労働基本権を駆使し、労働条件について雇い主と話し合う民間の労働者はどれだけいるのか』とあるが、それは個々の企業での問題であり、本件とは関係ない。逆説的に、「労働者の権利が踏みにじられているのだから、公務員の給料を上げるなど言語道断」と云いたいのであろうが、事実として、毎年春闘をしているわけであるし、また権利は保障されているわけである。各企業で労組でも何でも組んですればいいことだ。それで企業側に不正があるならば行政指導となり、解決されるべきものである。無論、行政指導が正しく行われなければ問題であるのだが、そういった話は聞かない。
更に理解しがたいのは、何故、そういった日勤に加えサービス残業までしている公務員の給与と「日雇い、フリーター、派遣社員契約社員など」のそれを同一視しなければならないのか。派遣や契約はまだわからないでもないが、フリーターや日雇いなどは労働条件などが違う。そうであるのに、参考になるはずがない。



二本目

8月28日 朝日福島版
 警務隊の統合 統制は十分か
 作家 高橋 克雄(東京都葛飾区 74歳)

 自衛隊は陸海空で縦割りだった警務隊と情報保全隊を統合し、それぞれ防衛相直轄にする方針です(23日朝刊)。これは「いつか来た道」ではないでしょうか。
 私の祖母一家は長崎の憲兵隊に施設防衛のためと強制疎開を命じられ、懇願は入れられず家を倒され、爆心地の浦上地区に越して被爆し、亡くなりました。
 憲兵隊は、陸軍大臣の管轄に属する軍隊内の警察ですが、昭和に入ると議会も警察も制御不能な組織と化し、軍人以外にも警察権を行使、市民を弾圧しました。
 自衛隊文民統制下にあります。しかし、情報保全隊イラク派遣に批判的な市民や報道機関の情報収集をした問題は「市民監視」と批判されました。民主主義国では軍隊といえども行動には法的根拠が必要です。
 「情報収集」と任務を規定するだけでは曖昧で、統制がなされていると言えるのでしょうか。警務隊の一元化は「憲兵隊再来」の温床になりはしないか。「文民統制」だけでは抑え切れないと懸念します。

警務隊と情報保全隊が統合されれば「いつか来た道」になるという発想からして独創的過ぎ、管理人には理解不能である。
また、施設防衛のための、所謂「建物疎開」は憲兵が当時治安維持の一翼を担っていたため実行したに過ぎず、決して憲兵の独断で行われたわけではない。政府決定の下敢行されたわけである。憲兵隊が直接に実行したから憲兵は悪い奴だ、などという主張はあまりに幼稚に過ぎる。
さらに、憲兵は、投稿にも『陸軍大臣の管轄に属する軍隊内の警察』と書かれているように軍の管轄であり、議会や警察とはなんら関係ない。投稿者は分かっていて敢えて誤解を招くような書き方をしたのであろう。『昭和に入ると議会も警察も制御不能な組織と化し』という主張は根本的に間違っている。また、その他、憲兵に関する誤解は情報保全隊の件の際、【自衛隊の「市民団体」監視は異常なのか?朝日のはしゃぎっぷりにその異常性を見る】に書いたとおりである。
そもそも、憲兵の存在自体が悪、といった考えを持っているようである投稿者は、軍事的な知識が絶望的に皆無なわけであり、また思想的にも極端に過ぎる。「文民統制」の意味も解していないようであるし、この老年にして更に恥をかきたいのかとしか思えない。


三本目

朝日福島版 8月27日
 戦争指導者の考え方に怒り
 家庭教師 鈴木 恵(前橋市 49歳)

 「『戦わない国』は? 特攻隊『命がけ』に脚光、危ぶむ声」(17日)を読み、怒りを感じました。
開戦時の東条英機首相の孫娘が「当時は命をかける値のある国家だった」と発言していたからです。
戦争を推し進め、一般国民を戦場に送り込んだ側の感覚です。背筋が寒くなりました。
 先の戦争は正しかった、とすることで身内を肯定しているように思えます。安倍首相のインド訪問も、祖父の岸信介元首相の戦犯容疑をぬぐいたくて仕方ないという気持ちが透けて見えます。
過去の出来事に背を向け、「美しい国づくり」という安倍首相の笑顔には怖さを覚えます。
 また、疑問に感じてきたことがあります。戦争中、安全な場所で戦略をたてていた参謀らの兄弟や息子さんは一般の国民と同じような扱いで危険な場所に送られたのでしょうか。
特攻隊の戦死者の中に東条英機元首相の息子さんがいたのでしょうか。当時、若者を将棋の駒のように使った戦争指導者たちの考え方には怒りに身が震えます。
 十代の息子2人を持つ母親として、平和な世の中に少しでも貢献できる方法は
ないかと考える日々です。

感傷的に過ぎる投稿であるが、いくつか誤解などがある故に取り上げた。本来ならばこのような主観でことを断じ『安倍首相の笑顔には怖さを覚えます』などと本気で書くような投稿は鼻で笑って終わりである。
東條布由子女史の発言である、「当時は命をかける値のある国家だった」は当時を生きる人々のそれぞれであり、管理人が論じるべきものではないが、しかし、よく引用される某特攻隊員の本音などでも「負けて日本は目覚めるべき」と散っていったわけである。少なくともこの特攻隊員は当時の日本と永遠に見ることのない戦後の日本に命をかけ、そして散っていかれたわけだ。決して、当時の上層部・戦争指導層のみがそう考えていたわけではあるまい。
さらに、及ばずながらこの投稿者の「疑問」にも答えよう。
『戦争中、安全な場所で戦略をたてていた参謀ら』と皮肉たっぷりの形容をなされた*1戦争指導層やその子弟はどうであったかというと、まず東條英機の三人の息子は長男が兵役検査で落ち(弱視)、次男は技術士官、三男は士官候補生で終戦を迎えたそうだ。そもそも、東條英機の父も陸軍の将官を勤め上げた人物であり、軍人は東條家と同様、軍人一家であることが多い。もちろん、高級将校になる場合が多いのではあるが、しかし、戦争というものは当然、士官も戦死する。最前線で玉砕した佐官・将官もたくさんいる。
また、なにも兵士を駒とみなし戦略を立てたのは日本軍だけではない。須らく軍というのはそういうものなのだ。映画【プライベートライアン】のワンシーンに、戦死者公報を多数のタイプライターで打つシーンがあるが、軍というものは、戦死者を想定して作戦を練る。特にノルマンディー上陸作戦はそれまでにない規模の作戦であったため、戦死予想者も同様であり、多数のタイプライターがはじめから用意されていたわけである。尤も、日本軍の人命軽視は問題視すべきものだが。
余談ではあるが、特攻生みの親大西瀧次郎海軍大将は戦後割腹自殺を遂げた。責を感じ自殺した将官もいれば、その責を逃れようと必死になった将官もいる。将官の責任回避の風潮が日本軍の問題点の一つでもあったわけだが、責をとった人間もいたのである。





よければこちらにも足を運んでください
鬱々日記〜特定アジア3面記事編



ブログランキング

ブログランキング・カテゴリ

マイプロフィール

ブログランキング・にほんブログ村へ

この記事を気に入ればくりっくしてくださいです・・・
ランキング参戦中。協力していただければ幸いです。


キッズgooはじかれサイト同盟
当ブログは残念ながらキッズgooからは検索できません。

*1:最前線の極限の状態で戦略など練れるとは思えないが