の戦線〜エル・アラメインを見た。学生の分際で平日からDVDで映画を見るのはなんともだが、時間割の関係上、帰宅後、夕食まで二時間以上あったのだからいい機会と思って見たのである。
なんとも言い訳がましい書き出しだが、感想としては全体的に地味ながら綺麗な映画だということだ。アフリカ戦線に於いて前線に孤立した小隊に補充兵として配属されたセッラがバイクに二ケツ(二人乗り)で砂漠を行くシーンから始まる。云うまでもなく、砂漠と言う戦場の最大の敵は敵軍ではなく気候であり風土病であり補給である。より補給路を完備したほうが勝つと云っていい(もっともこれは全ての戦場で云えることだが)。日本軍の島嶼に対する補給の杜撰さ(戦争も後期に入ると「軍」単位で自活命令が出るのだからとんでもない)を少しは知っている人間からすれば、それでも一応食事などが運ばれてくるイタリア軍はまだマシに見えた。
戦争映画にはよくある疲弊した部隊に配属されたセッラは、学徒志願兵ということもあり純粋に祖国の勝利を信じ、希望をもって配属されたのだが、現実と言うのは、また所謂「お約束」である。
敵対する英軍との間に敷かれた地雷原を夜間に超えてきた狙撃兵との戦い(迫撃砲で吹っ飛ばしていた)や夜間に地雷原に引っかかった英軍兵士の死体漁りに行くなどをし戦争の現実を知っていくセッラはひび疲弊してゆき、先に配属されていた他の兵士と同じく「兵士の顔」となってゆく。まぁ最後まで他の兵士とは違って髭は殆ど生えていなかったが。
英軍との小競り合いを経験しながら砂漠で様々な体験をするセッラであるがついに英軍の一台反攻が始まる。それを防ぐべく最前線のセッラたちは少々の配置換えを命ぜられたのち、布陣した蛸壺陣地で英軍との夜戦を経験する。最大の装備が迫撃砲軽機関銃という中、必死に応戦する小隊は結局突破されるのだが、その英軍も結局撤退したらしく、その後イタリア軍の撤退が始まる。
英軍の侵攻のほうがセッラたちの小隊の敗走速度よりも速く結局はセッラたちは英軍に追いつかれ疲弊した部隊はなんの抵抗もなく投降するのだが、セッラと小隊長たる中尉や古参の曹長は身を潜めその場をやり過ごし敗走を続ける。
とにかく砂漠を歩くシーンが多いこの映画であるが、そのシーンを見ていても飽きないのはなかなかである。単調になりがちの行軍をよくもまぁといったものだ。
静かで地味で激しい戦闘シーンは少ないが、砂漠の最前線の小隊を描いた良作であると素人ながら思う作品だ。余談ではあるが、男しか出ない、しかもイタリアのラテンな濃い男たちばかりの映画であることも押さえておくべきであろう。

ではきょうもいきましょうか