全国高校デザイン選手権大会

北芸術工科大学が主催する「全国高校デザイン選手権大会」が今年も開かれ、神戸市立科学技術高校が優勝した。同校のテーマは「Made in .... 」であり、同校のサイトに拠ると、以下のような趣旨のものであるらしい。

食品表示により、私たちは食の安全に対して監視の目を持つことができました。私たちの提案「Made in・・・・」は、戦争や紛争に使用される兵器にも、このような表示をしようというものです。製造国やメーカー、株主などの情報を世界中の人々と共有することで、何かが変わるきっかけになるのではないでしょうか。そして、この運動は人々が本当に必要としているものに武器をリサイクルしようというところにまで広がりを見せるのです。

また、今朝の朝日新聞の記事を要約すれば、兵器をかたどった紙に、値段やそれだけの金額でどのような「国際貢献」が出来るかを記したものであるらしい。同紙にあがっていた例を引用すれば、

戦闘機の誘導爆弾は一発3400万円でHIVの治療薬なら2800人分、3000億円する原子力潜水艦一隻ならビスケット15億箱が買える計算になる。
(朝日新聞大阪版平成19年11月25日日曜日21面より)

である。
そして、このデザインを考えるきっかけは「如何にして戦争をなくすか」であるらしい。
この、兵器の値段を提示し、同じ金額で何が買えるか、という視点からのアプローチは決して斬新なものではない。以前から、社会科の教科書などでは戦闘機一台分で学校の校舎が何棟建つかといったことが書かれている。管理人が持つ、高校用の現代社会の資料集にも同様の記事がある。
さて、しかしながらといおうか、この視点から戦争をなくすことは不可能と云っていい。なぜかというと、実際に世界の紛争地で使われている兵器の大半は、西側諸国が生産し各国軍が運用する高価な精密兵器ではなく、旧ソ連などの東側諸国が作り、そしてそれを発展途上国などでコピー生産した廉価な兵器である。最もよく知られたものが、カラシニコフ突撃銃(AK47)であろう。小さな大量破壊兵器の異名を持つ同銃は、紛争地などでは数万円で取引される。また、あまり知られない例としては、対人地雷であろうか。これらも、紛争地に埋まっているその大半は旧ソ連や紅支那で生産された一個数百円の非常に安価なものだ。
戦争をなくしたい、というのであれば、先進国やそれに準じる軍事力を持つ国家の国軍の高価な装備品を論い、批判するだけでは、とてもではないが足りないのである。





では今日もいきましょうか