新しい護憲の切り口?〜北朝鮮、「日本の改憲は国際法違反」

 朝鮮法律家委員会は1月25日、日本の軍国化と海外膨張策動が安倍内閣発足後、きわめて危険な段階にいたっており、「平和憲法」を戦争憲法に改悪し、軍国化と海外膨張の「法律的基礎」を完備しようとしていることから、日本での憲法改悪策動を糾弾する白書を発表し、その反動性と不法性を暴露、日本に分別のある行動をとるよう求めた。

 白書はまず、日本の憲法改悪策動は国際法上の義務に対する乱暴な違反であり、国連憲章にも徹底的に反する行為であると指摘した。

 白書は、第2次世界大戦後、国際社会は、戦後の日本の法律的地位を定めた「ポツダム宣言」、国連憲章などの国際法的文書を採択したことについて言及し、日本が公式受諾した「ポツダム宣言」は今後、海外侵略や軍国主義を復活させず、永遠に「平和国家」としての責任を尽くすことを国際社会の前で公約した法律的証拠物であると強調した。

 また、日本が「ポツダム宣言」の決定により、他国に対する武力行使と軍事行動を禁止し、平和国家としての法律的地位を順守する国際的義務を担っていることから1946年11月に第9条などの重要条項を中核とする「平和憲法」を制定し、47年5月から施行せざるをえなかったと述べ、第2次世界大戦の戦犯国として日本は、享受すべき権利よりも履行すべき国際法的義務をあまりにも多く負っている「国際法債務国家」であると指摘した。

 しかし、「平和憲法」を戦争憲法に作りなおそうとする日本反動層の策動は、公認されている国際法規範と自らの公約はどうであれ、是が非でも軍事大国化と海外膨張の「法律的土台」を完備し、またしても再侵略の道へ進もうとする危険きわまりない行為、世界の平和と安全を脅かす危険な犯罪行為であると指摘した。

 白書は、安倍首相が、昨年10月31日の記者会見で、憲法改悪の理由として、第1に現在の憲法が独立前に作成され、第2に現行憲法に60年の歳月が流れて時代に合わない条文があり、第3に自分の手で憲法を作成するという精神が新時代を開拓していくという3点を挙げながら、自分の任期中に憲法9条を含む改憲を必ずや実現させると述べたことについて言及し、日本反動層の改悪の理由と目的は不当きわまりないものであると非難した。

 白書は、「平和憲法」によって日本は現在まで安全と蓄財、経済発展を遂げることができたと指摘した。

 にもかかわらず、日本の現当局者と執権与党が、歳月が流れ憲法が古くなったという理由にならない理由を持ち出してまたしても侵略を志向し、戦争を合法化する軍国主義憲法を制定しようとするのは、いかなる場合にも容認されない犯罪行為にほかならないと強調した。

 白書はまた、近年、自民党によって「改憲案」が作成され、それが新たに発足した安倍政権の執権期間に達成すべき総体的目標にまで設定され、本格的な実践の段階に入っているとしながら、日本の当局者が「改憲案」を自分の任期内に是非とも国会に提出して通過させると言明したことで、事実上、現行「平和憲法」は政治的死刑宣告を受けていると指摘した。

 また、この10余年間に、日本では「国連平和維持活動(PKO)協力法」「周辺事態法案」「テロ対策特別措置法」「有事関連法」などが制定、公布され、これらを根拠に憲法を改悪しようと策動してきたことについて触れた。そして、これらは自衛隊の海外派兵を合法化し、海外侵略野望の実現のための侵略法、戦争法で「平和憲法」に根本的に反するものであると強調した。

 白書は、日本で繰り広げられている憲法改悪策動は、単に文句上の修正や平和的発展のための修正ではなく、これを通じて是が非でも軍国化と海外膨張野望を実現しようとする危険きわまりない好戦行為であると再度指摘。

 そして、日本の当局者たちは、こんにちのアジアがかつて日本の侵略の前で無力であったアジアではなく、自分らの無分別な軍国化と海外膨張策動があげくにはわが国をはじめ周辺諸国の強力な戦争抑止力と対応措置によって恥ずべき破滅を免れなくなるということを明白に認識し、分別のある行動を取るべきだと強調した。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2007.1.31]

斬新
の一言です。

さてまぁ、この文がどれほどの意義を持ちえるのかちょっと考えてみましょう。
以下がポツダム宣言の全文、及びに現代語訳文です


 吾等合衆國大統領、中華民國政府主席及「グレート、ブリテン」國總理大臣ハ吾等ノ數億ノ國民ヲ代表シ協議ノ上日本國ニ對シ今次ノ戰爭ヲ終結スルノ機會ヲ與フルコトニ意見一致セリ

 合衆國、英帝國及中華民國ノ巨大ナル陸、海、空軍ハ西方ヨリ自國ノ陸軍及空軍ニ依ル數倍ノ増強ヲ受ケ日本國ニ對シ最後的打撃ヲ加フルノ態勢ヲ整ヘタリ右軍事力ハ日本國ガ抵抗ヲ終止スルニ至ル迄同國ニ對シ戰爭ヲ遂行スルノ一切ノ聯合國ノ決意ニ依リ支持セラレ且鼓舞セラレ居ルモノナリ

 蹶起セル世界ノ自由ナル人民ノ力ニ對スル「ドイツ」國ノ無益且無意義ナル抵抗ノ結果ハ日本國國民ニ對スル先例ヲ極メテ明白ニ示スモノナリ現在日本國ニ對シ集結シツツアル力ハ抵抗スル「ナチス」ニ對シ適用セラレタル場合ニ於テ全「ドイツ」國人民ノ土地産業及生活様式ヲ必然的ニ荒廢ニ歸セシメタル力ニ比シ測リ知レザル程度ニ強大ナルモノナリ吾等ノ決意ニ支持セラルル吾等ノ軍事力ノ最高度ノ使用ハ日本國軍隊ノ不可避且完全ナル壊滅ヲ意味スベク又同様必然的ニ日本國本土ノ完全ナル破滅ヲ意味スベシ

 無分別ナル打算ニ依リ日本帝國ヲ滅亡ノ淵ニ陥レタル我儘ナル軍國主義的助言者ニ依リ日本國ガ引續キ統御セラルベキカ又ハ理性ノ經路ヲ日本國ガ履ムベキカヲ日本國ガ決定スベキ時期ハ到來セリ

 吾等ノ條件ハ左ノ如シ
吾等ハ右條件ヨリ離脱スルコトナカルベシ右ニ代ル條件存在セズ吾等ハ遅延ヲ認ムルヲ得ズ

 吾等ハ無責任ナル軍國主義ガ世界ヨリ驅逐サラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本國國民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ擧ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ

 右ノ如キ新秩序ガ建設セラレ且日本國ノ戰爭遂行能力ガ破砕セラレタルコトノ確證アルニ至ル迄ハ聯合國ノ指定スベキ日本國領域内ノ諸地點ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スル為占領セラルベシ

 「カイロ」宣言ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

 日本國軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復歸シ平和的且生産的ノ生活ヲ營ムノ機會ヲ得シメラルベシ

 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セントシ又ハ國民トシテ滅亡セシメントスルノ意圖ヲ有スルモノニ非ザルモ吾等ノ俘虜ヲ虐待セル者ヲ含ム一切ノ戰爭犯罪人ニ對シテハ嚴重ナル処罰ヲ加ヘラルベシ日本國政府ハ日本國國民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復活強化ニ對スル一切ノ障礙ヲ除去スベシ言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ
十一
 日本國ハ其ノ經濟ヲ支持シ且公正ナル實物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムルガ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サルベシ但シ日本國ヲシテ戰爭ノ為再軍備ヲ為スコトヲ得シムルガ如キ産業ハ此ノ限ニ在ラズ右目的ノ爲原料ノ入手(其ノ支配トハ之ヲ區別ス)ヲ許可サルベシ日本國ハ將來世界貿易関係ヘノ參加ヲ許サルベシ
十二
 前記諸目的ガ達成セラレ且日本國國民ノ自由ニ表明セル意思ニ從いヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合國ノ占領軍ハ直ニ日本國ヨリ撤収セラルベシ
十三
 吾等ハ日本國政府ガ直ニ全日本國軍隊ノ無條件降伏ヲ宣言シ且右行動ニ於ケル同政府ニ對ノ誠意ニ付適當且充分ナル保障ヲ提供センコトヲ同政府ニ對シ要求ス右以外ノ日本國ノ選択ハ迅速且完全ナル壊滅アルノミトス
現代語訳

 われら合衆国大統領、中華民国政府主席及びグレート・ブリテン国総理大臣は、われらの数億の国民を代表して協議の上、日本国に対して、今次の戦争を終結する機会を与えることで意見が一致した。

 合衆国、英帝国及び中華民国の巨大な陸、海、空軍は、西方より自国の陸軍及び空軍による数倍の増強を受け、日本国に対し最後的打撃を加える態勢を整えた。この軍事力は、日本国が抵抗を終止するまで、日本国に対し戦争を遂行しているすべての連合国の決意により支持され、かつ鼓舞されているものである。

 世界の奮起している自由な人民の力に対する、ドイツ国の無益かつ無意義な抵抗の結果は、日本国国民に対する先例を極めて明白に示すものである。現在、日本国に対し集結しつつある力は、抵抗するナチスに対して適用された場合において、全ドイツ国人民の土地、産業及び生活様式を必然的に荒廃に帰させる力に比べて、測り知れない程度に強大なものである。われらの決意に支持されたわれらの軍事力の最高度の使用は、日本国軍隊の不可避かつ完全な壊滅を意味し、また同様に、必然的に日本国本土の完全な破滅を意味する。

 無分別な打算により日本帝国を滅亡の淵に陥れた、わがままな軍国主義的助言者により、日本国が引き続き統御されるか、又は理性の経路を日本国がふむべきかを、日本国が決定する時期は、到来した。

 われらの条件は、以下のとおりである。
われらは、右の条件より離脱することはない。右に代わる条件は存在しない。われらは、遅延を認めない。

 われらは、無責任な軍国主義が世界より駆逐されるまでは、平和、安全及に正義の新秩序が生じえないことを主張することによって、日本国国民を欺瞞し、これによって世界征服をしようとした過誤を犯した者の権力及び勢力は、永久に除去されなければならない。

 このような新秩序が建設され、かつ日本国の戦争遂行能力が破砕されたという確証があるまでは、連合国の指定する日本国領域内の諸地点は、われらがここに指示する基本的目的の達成を確保するため、占領される。

 カイロ宣言の条項は履行され、また、日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国並びにわれらが決定する諸小島に局限される。

 日本国軍隊は、完全に武装を解除された後、各自の家庭に復帰し、平和的かつ生産的な生活を営む機会を与えられる。

 われらは、日本人を民族として奴隷化しようとし又は国民として滅亡させようとする意図を有するものではないが、われらの俘虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重な処罰を加える。日本国政府は、日本国国民の間における民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障害を除去しなければならない。言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は、確立されなければならない。
十一
 日本国は、その経済を支持し、かつ公正な実物賠償の取立を可能にするような産業を維持することを許される。ただし、日本国が戦争のために再軍備をすることができるような産業は、この限りではない。この目的のため、原料の入手(その支配とはこれを区別する。)は許可される。日本国は、将来、世界貿易関係への参加を許される。
十二
 前記の諸目的が達成され、かつ日本国国民が自由に表明する意思に従って平和的傾向を有し、かつ責任ある政府が樹立されたときには、連合国の占領軍は、直ちに日本国より撤収する。
十三
 われらは、日本国政府が直ちに全日本国軍隊の無条件降伏を宣言し、かつこの行動における同政府の誠意について適当かつ充分な保障を提供することを同政府に対し要求する。これ以外の日本国の選択には、迅速かつ完全な壊滅があるだけである。
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1945Potsdam.htmlより

よく言われるように、ソ連のシベリア抑留はポツダム宣言第九項に完全に違反しております。
そして、その当時ソ連軍の将校であった金日成が建国した北朝鮮がこのようなことを言い出すというのはなんともまぁ、皮肉なことであります。
北朝鮮ポツダム宣言をとやかく言われる筋合いなどはありません。
また、宣言文を読んでいただければ分かるよう、再軍備の否定などはどこでも成されていません。
第十一項に

 日本國ハ其ノ經濟ヲ支持シ且公正ナル實物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムルガ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サルベシ但シ日本國ヲシテ戰爭ノ為再軍備ヲ為スコトヲ得シムルガ如キ産業ハ此ノ限ニ在ラズ

 日本国は、その経済を支持し、かつ公正な実物賠償の取立を可能にするような産業を維持することを許される。ただし、日本国が戦争のために再軍備をすることができるような産業は、この限りではない。

とあるだけです。これが根拠ならば薄弱すぎます。
また、そもそも、北朝鮮は当然ながらポツダム宣言の締結国ではありません。
北朝鮮ポツダム宣言を持ち出しとやかく言う権利はないのです。
米英華露の四国(ロシアの場合は参加自体が日ソ中立条約違反な上に、ポツダム宣言すら違反していますからなんとも云えませんが)のみが法的なそれを主張できます。言い換えれば、四国の同意があればこんなものなんの法的拘束力をもたないのです。
そもそも、未だにポツダム宣言が法的拘束力を持つなど、誰も考えていないでしょう。上記の四国に電話で確認を入れたら済むような話ですので、日本はまったく気にする必要などありません。
むしろ、この北朝鮮内政干渉こそ、国際法に反するものと言えるでしょう。




よければこちらにも足を運んでください
鬱々日記〜特定アジア3面記事編


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