泰の軍事クーデター。如何なる収束へ向かうか

【ワシントン=有元隆志】ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は21日、滞在先のニューヨークでの記者会見で、タイのクーデターで権力を握ったソンティ陸軍司令官率いる民主改革評議会が政党活動の禁止などを発表したことについて、「タイへの援助を再検討している」と述べ、援助凍結の可能性も示唆し、民主体制に復帰するよう強く警告した。

 ケーシー国務省副報道官は同日の記者会見で、約1400万ドル(約16億円)の直接援助が見直しの対象になっていると説明した。

 同副報道官は、評議会の決定について、「民主的な統治からの後退であり、失望している」と批判した。

 そのうえで、同評議会が1年以内に総選挙を実施する方針を示していることについて、すべての政党が参加できる形で、速やかに総選挙を実施するよう求めた。

(09/22 10:06)

バンコク=岩田智雄】軍主導のクーデターが発生したタイで、政権を掌握した民主改革評議会は、首相の座を失ったタクシン氏の支持派の巻き返しを押さえ込むため、メディア規制にも乗り出した。さらに、プミポン国王に謁見する同評議会幹部の写真を公開、国民のクーデターへの支持獲得に躍起になっている。

 22日付タイ英字紙ネーションによると、民主改革評議会は21日、テレビ局に対し、視聴者が携帯電話で送ったショート・メッセージを報道することを禁止した。「メッセージには不適切なものが含まれているため」と理由を説明している。同時に、ラジオ局に対しても、電話取材による市民の意見の放送を禁じた。

 民主改革評議会の支配下に置かれた情報通信技術省は、同評議会による「民主政治のもとでの政治改革」を傷付けるすべてのメディア報道を「規制、封鎖、破壊する」よう権限を与えられたという。同評議会はタクシン氏の支持者が多いタイ北部チェンマイ、チェンライ、メーホンソン3県のコミュニティー・ラジオ局300局以上を閉鎖し、タクシン支持派の間でクーデター批判が広がることを封じ込めた。

 またメディアに対し、ソンティ陸軍司令官率いる軍主体の民主改革評議会の名称に「立憲君主制での」という言葉を加えた正式名称で呼ぶよう指示。同司令官ら軍幹部がプレム枢密院議長とともにプミポン国王とシリキット王妃に拝謁している20日の写真をメディアに配布して、クーデターが国王の“お墨付き”を得ていることを印象づけようとしている。

 一方、同紙によると、文民による暫定首相候補として新たに国連貿易開発会議(UNCTAD)のスパチャイ事務局長(タイ人)の名前が挙がっている。スパチャイ氏は以前、世界貿易機関WTO)の事務局長を務めたこともある。

(09/22 09:55)


やっと泰の軍事クーデターネタです。
遅きに失しましたが。
勃発当初は、ニュースなんか見てると、平和っぽい感じを報道してましたが、政党活動禁止・報道規制ですか。とりあえず無期限禁止なんでしょうかね。なんだか雲行きが怪しくなってきましたかねぇ。
と言いましても、泰ではプミポン国王陛下が絶大な権威を持ってますから、軍の独裁と言ったことにはならないと思いますね。王政復古もないだろうなぁ。以前、タクシン首相が
総選挙した際、野党がボイコットして与党泰愛国党が大勝したんですが、それに関して、「対立候補のいない選挙は民主主義に悖る」って言ってやりなおしを示唆してましたかね。さすがは戦前からの独立王国。気高いなぁと思いましたよ。ま、そのやり直し選挙が未だに実施されずに国内政治が混乱していて今回の軍事クーデターに繋がったようですが。
でも、こういうときやっぱり、権力と権威の分立が必要だと言うのがよく分かりますよ。表向きの首謀者(黒幕がいるとかは聞きませんが、こういうのは確実にいますよ。若手将校とか)であるソンティ司令官ですらカーペットに跪いて謁見、拝謁してますから。こりゃ軍も偉そうなことはできない。1991年の際の軍事クーデターでも、ぐんと市民が衝突したんですが、軍と市民の代表者をそれぞれ王宮に呼びつけて説教をしたなんて逸話もあるそうです。それで丸く収まったとか。
今回の件に関しても、どこまで国王陛下が軍を抑えられるか。これが成功と失敗の分かれ目でしょうねぇ。まだ、大丈夫だと思いますが。
なんにしても、軍が政治に出てくるってのはいい話ではないですから。