サイカノと靖国と

最終兵器彼女を読んだことは昨日かに書いたとおりですが、普段から靖国やらなんやらと考えてるチンケな脳みそでは、こんな話を読むと特になんだかんだと結び付いてしまうんですよ。

そしてこれを読んで(内容が内容なんで何度も読めませんよ。泣いてしまう)一つ理解しました。小林よしのり氏等が云う、『物語の欠如』を。サイカノでは、知っている人はしっているでしょうが、地球滅亡に向け日本がさまざまな国から侵略を受けます。詳しい設定などは敢えてかかれていませんが、どうやら彼らの祖国が地球滅亡への天変地異のためなくなり、日本に攻め入ってきたものと思います。空軍が最後まで出てくるところを見ると、完全に水没したとかではないでしょうが。当然、日本側も自衛隊を駆使し防衛を行なうわけですが、どうもヤンキーが敵に回ったようで早いうちから陸自の投入という絶望的な状況となります。また、最初に東京が壊滅させられたのか、報道規制も相まって主人公(シュウ)の周辺にはなんら情報が集まっていないようでした。もっとも、シュウの友人であるアツシは陸自に志願するのですが、その陸自の末端兵であるアツシもあまり戦況や地球のおかれている状況は知らなかったようですが。また、戦争が始まる前から陸自で士官をやっているテツ
先輩等も出てくるのですが、みながみな、死ぬ際に「死にたくない。何で死ぬんだ」と云いながら死んでいきました。
さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
俺は別に、「死にたくない。何で死ぬんだ」と言いながら死んでいったことを非難するつもりは毛頭ありません。ですが、この発言は日本が抱える国防の物語・契約の欠如そのものであると思うのです。
作中のこの戦う意味すらわからない『戦争』は極端すぎ、またあてにならない例かもしれませんが、俺は物語の欠如をこれを読み理解できました。
我が国では本来尊いとされるべき、国防による死を軽んじているとしか考えられません。東京が壊滅した作中において、靖国神社に祭られるなど云われても士気は鼓舞されないでしょうが、それでも死んでいく理由ぐらいは付けられるはずです。国を守って死ぬんだと理解できるはずです。我が国には物語がありません。国は国民と戦死に関する契約を結んでいません。八百八万の神が存在する国として異常です。この物語と契約があれば、作中における自衛官の人々ももう少し安らかに死ねたのではないでしょうか。死ぬ理由を見つけることが出来たのではないでしょうか。死後の安寧をもう少し知れたのではないでしょうか。

麻生氏が靖国を国が管理する方向にもっていく、という趣旨の計画案を発表しました。靖国神社が国家護持されるべきであることに異論を挟む余地はありませんが、たくさんの売国奴が政界官界財界に跋扈する我が国において、そのようなことをすれば今後どうなるか恐ろしくて仕方ありません。また、靖国を宗教から離すという考え方も納得がいきません。靖国神社カソリックである麻生氏もなんの後ろめたさもなく参拝できる場です。現にバティカンが戦前から教徒の靖国参拝を認めています。戦後GHQが靖国神社伊勢神宮などを破壊しようとした際も、真っ向から反対したのはバティカンでした。袈裟姿のお坊さんも参拝できるのが靖国です。すべての宗教を受け入れる靖国無宗教にする必要などはありません。政教分離などと叫ぶ人々は、政治は祭りごと、つまり原始宗教から生まれたことを知らないはずはないでしょう。厳格な分離など不可能なのです。日本の伝統は神道であり、またすべての宗教に寛容な神道こそ、靖国に相応しい宗教だと俺は確信しています。
今の靖国のまま靖国があり続けるのをよしとせず、国家権力により靖国の形を悪しきものにかえようというのであれば、麻生氏の案には声を大にして反対を叫びたいです。言わんや、前述のとおりの政界官界財界ですから、時期尚早と言わざるをえません。
物語・契約の場としての靖国には国家の保護が必要不可欠なのですが。
最終兵器彼女を読み思ったことはたくさんありますが、またそれは機会があればということで。
ドラゴンヘッドなどより数万倍、優しく重く切なく切実で美しい誰もに読んでもらいたい漫画です。中古で全巻計1300円程度で購入できた俺は幸せものです。高橋しん先生ごめんなさい。きみのカケラ、買ってきます。
でもやっぱり、セカイ系のみならず世界で最も美しい物語は、イリヤの空、UFOの夏でしょうが。
どうも俺は後半部分からのめり込む作品に名作がおおいようです。サイカノも4巻から纏め買いして結果こうなっていますから。どこかで救われることを信じてたのにな……これもイリヤと同じだ(笑)